大人であれば当たり前に毎日している「歯磨き」も、小さなお子さんにとってはいろいろ難しいことがあります。正しい歯の磨き方を大人の視点から話して聞かせるわけにもいかないので、特に気をつけるべきことは、「歯磨きは楽しいことである」ということをお子さんに覚えてもらうことです。
ただし、注意しなければならないこともあります。特に多い「誤飲」や「うがいの失敗」により苦しい思いをさせてしまうと、その後歯を磨くのがキライになってしまうことも考えられます。できるだけ楽しみを与え、その中で徐々に「重要な意味がある」ということを教えてあげるのが理想といえるでしょう。
小さいお子さんの口の中に乳歯が生えてくると、いよいよ歯を磨くことを教える必要があります。とはいえ、乳歯はまだことばを用いてコミュニケーションをとることができない時期から生えてきますので、まずはお母さんが磨いてあげることになります。ですから、その時期として適切なのは、だいたい生後半年~1年くらいということになります。
ただ、この時期の赤ちゃんの口の中は、唾液による自浄作用が活発に働いているため、「しっかり磨く」というイメージよりは、「歯を磨く感覚に慣れさせる」ことのほうが重要になります。この時期に慣れないことを強要されると、歯磨きがキライになってしまいますので、嫌がった場合には、歯ブラシをつかうのではなく、柔らかいガーゼのようなもので拭き取るイメージでお掃除してあげます。
ある程度年齢が進んで、自分でブラシを持てるようになったら、お母さんも一緒に歯磨きをして見せてあげると、子供はそれをちゃんとまねしようとします。ことばで説明するのが難しい歯磨きですから、小さいうちは視覚的、感覚的に教えてあげるのも大切な工夫です。
また、自分でブラシを持つようになったばかりの時期には、のどをつついてしまう事故が多く発生します。子供だけに任せず、見守ってあげることが重要です。
上で触れたように、お母さんがして見せてあげることを習慣づければ、お子さんが歯磨きを嫌がることはありません。それを怠ってお子さんが嫌がるようになってしまったら、そのときからでも遅くないので、一緒に磨いて見せてあげることが大切です。また、ある程度成長し、歯磨きを放棄するようなら、歯を磨かないでいるとどうなってしまうのかという怖さを教えてあげるのもひとつの方法です。
小児歯科では、「歯磨き指導」も重要な役割です。歯ブラシの持ち方や、磨く際の力の入れ方、汚れを残さないための工夫など、基本的なことを指導します。歯垢の染め出しを行い、鏡をつかって楽しく磨くことを目標に指導します。自分で歯ブラシを持てるようになる3歳くらいから指導を受けると有効です。
お子さんに歯みがきの重要さや、虫歯などのリスクを伝えるのは親御さんにしかできないお仕事です。当院でもしっかりバックアップしますので、小さい頃から良い習慣がつくように見守ってあげましょう。
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