化学物質としての「フッ素」は、一般的にはそれほど有名ではありませんが、しかし「虫歯予防」という観点ではこれほど有名な化学物質は他にないといえるでしょう。おそらくみなさんも、小学校で「フッ素うがい」を一度は経験されたのではないでしょうか。
フッ素うがいとはまた違う予防法ですが、同じ化学物質を用いる「フッ素塗布」という手法があります。これは、「歯の汚れを完全に落とすよりも、汚れがつかない、あるいは汚れがついても虫歯になりにくい」という発想で生まれた手法です。
フッ素塗布は、どちらかというと学校など集団で実施されるイメージがありますが、個別で歯科医院に行って塗布してもらうこともできます。もちろん当院でも随時実施しています。
フッ素塗布を行う上で見込むことができるメリットは、「歯の再石灰化を促す効果」です。つまり、歯の汚れを落としきれずにその部分が虫食い状態になったとしても、すぐに元通りに戻ってくれるという効果を見込めるのです。これは、唾液に含まれるミネラルが沈着しやすくなるという化学的な性質を利用した効果です。
歯の質が強くなるというメリットも見逃せません。これはつまり、汚れた部分が酸によって溶かされるのを防ぐ効果が高いことを意味します。加えて、酸の生成自体を抑制する効果も見込めます。
アメリカでは、「フッ素は毒物である」という認識があります。日本ではそこまで厳しく糾弾されることはありませんが、これは国による感覚のちがいであり、どちらが正しいかということは一概にいえない部分も確かにあります。つまり、小さなお子さんがフッ素を利用した場合、誤飲などによって健康を害する可能性があるということになります。また、フッ素自体の問題ではなく、予防をしていれば歯磨きはしなくてもよいといった誤解を生むケースも少なくありませんので、これもデメリットといえるでしょう。
フッ素配合製品を利用することで、自宅でも虫歯予防をすることが可能になります。もちろんそれなりの効果があることは間違いありません。しかし上記でも触れたように、リスクがまったくないわけではありません。特に、小さなお子さんがいるご家庭では、できるだけ手の届かないところに保管するなどの注意は必要になります。
このように、虫歯予防には絶大な効果があるフッ素ですが、その使用には十分注意が必要になります。
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